ベーコンの味

フランシス・ベーコン展を見に行ってきた。

 

ゴールデンウィークだし混んでるかなと思ったが、

そんなに混雑していなかったし、

作品数も多くないので、見やすくて良かった。

ラファエロのほうは大混雑だったのだろうか?

まぁ、それはいいや。

 

「具象画と抽象画の間の綱渡り」をベーコンが

自身の方法論としていたところが、僕は好きだ。

 

もろく崩れ落ちそうなところを保ち続ける。

 

綱渡りだから、落ちちゃったらダメなんだ。

落ちそうになっても、踏ん張って立て直し続ける。

実に前向きな精神。

 

 

描かれたものが不気味さを持っていたり、

暗さを感じさせても、それらは前向きな精神の後からやってきたものだ。

作品は、前向きな精神を宿していれば、それでいいと僕は思う。

 

そして、前向きな精神とは自分なりに見出す、自分の生き方だと僕は考える。

 

 

ベーコンは不気味なノンフィクションと不気味なフィクションの間を

保ち続けたのだと思う。

綱は渡り切ってもいけないのだ。

 

 

あと、ベーコンが金色の額縁とガラスでの額装に、こだわっていたところに

興味を持った。

こっちとあっちの間に作品がある見せ方が良かった。

 

 

ものすごく引き込まれる展覧会で楽しかった。

 

会場の出口に、ベーコンのすごく汚いアトリエの写真があって、

僕ももっとやって大丈夫だと勇気をもらった。

 

それを妻に伝えると複雑そうな笑顔を返した。