変人同士のすれ違い

午前9時頃、東京駅八重洲の地下街。

 

両手に荷物を抱えた女性が前方に見えた。

こっちに向かってくる。

7,8メートルぐらいのところで目が合った。

 

僕は左に視線をそらす。

でも彼女はまだこっちを見ている感じがした。

視線を右へ戻す。

やっぱりこっちを見てた。

 

ん!?知り合いか。

頭の回転スピードがぐんっと上がる。

誰だ?誰だ?誰だ?

いや他人だ、他人。全然こんな人知らない。多分。

 

だけど気になる。

何だって彼女は・・・。

こうなったらこっちも見続けてやる。

 

そしてすれ違う瞬間にようやく知らない人だと確信が持てた。

ほっ。

それと同時に軽く会釈をしてしまった。

 

くそっ、なんだって僕は知らない人に会釈なんか・・・。

そして、何だって君はずっと口が半開きだったんだ。