見たくないのに、つい。

朝早くから山を崩し始める。

 

アーーーーーーーーーッ!

 

崩れ落ちたものを更に破壊し、破壊しまくる。

 

アーーーッ!アーーーッ!アーーーッ!

 

その横を通った者に、

何見てんだよ、と言わんばかりの、

冷たく鋭い視線を投げかける。

 

そんなカラスという生き物に、僕は恐怖を感じるのだ。

 

通勤途中、坂を上がりきったところで、

10メートルほど先に3羽のカラスが、ゴミを突いているのが見えた。

 

すると1羽が僕に気付いて顔を上げ、

人間ごときが俺たちに何か用かよ、とでも言いたげな鋭い視線を

投げつけてきた。

 

見なきゃいいのに、つい僕はそいつと目を合わせてしまった。

 

カラスとの距離はどんどん近付いていった。

 

でも、この黒く硬そうな眼球に、黒いコートに黒いズボンの自分よりも

ずっと大きな生き物である僕は、一体どう映っているのだろうと思ったら、

視線をはずせなくなった。

 

そして、1メートルぐらいまで近づいた時、

バサッ!と羽を広げ僕を威嚇した。

 

もちろん僕は、

ビクッ!となって早足で逃げた。